私たちがお客様と初めて接するとき、ヒアリングリストを見せながら職業や家族のことをお聞きします。いろいろなお客様がいて、すべての項目を埋めようとしてくださる人、自分の名前だけで会社も家族のことも言わない人。本当に様々です。
戸建住宅の設計は、マンションの設計とは大きく違ってきます。 マンションはどんな入居者が入るか判りませんから、アンケート等からどんな間取りに人気があるかを分析し、組み立てていきます。それは、個々の入居者のことを考えない設計です。 建売住宅もそうです。
もう少し言及すれば、設計プラン集を見せて「これだけプランがあるから、選べるでしょう」とするハウスメーカーも、入居者の個性を考えずに設計しています。
一方で、具体的な敷地と具体的な家族がいて、そこからスタートする設計は、全然違ったものになります。十人十色とはよく言ったもので、「普通の家族」とか「標準的な家族」というのは、まずありません。後片付けの仕方、洗濯物のルールなど、その家族が「当たり前」「普通」と思うことが、他人から見れば普通ではなかったりします。
“当たり前”“普通”と思う生活、それがライフスタイルと呼ばれるものになるわけですから、それを充分に把握した上で、その家族だけの“普通”の家をつくりたいと思うのです。
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白崎泰弘/シーズ・アーキスタディオ (NPO法人家づくりの会所属)