最近はなかなか映画もゆっくり見れませんが、久しぶりに「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」という映画を見ました。
ちなみに続編が先日まで渋谷のユーロスペースで、「みんなのアムステルダム国立美術館へ」というタイトルで上映されていました。
内容は、2013年にやっとのことで改装オープンしたアムステルダム国立美術館の、そこに至るまでの顛末を追ったドキュメンタリーです。
アムステルダム国立美術館は、レンブラントやフェルメールといった17世紀のオランダ美術を代表する画家たちの作品の宝庫です。そんな世界的な美術館が約10年に渡り閉館するという異常事態が続いていたのです。
そもそも当初、改装は2004年から始まり、2008年には終わり、グランドオープンを迎える予定のものでした。しかし、コンペで決まったスペインの二人組の建築家の設計が自転車の往来の妨げになるとか(自転車大国ですしね)、新しくつくられる建物がこれまでの環境を損ねるなどの市民からのクレームにより暗礁に乗り上げます。また、美術館内部のいろんな部署の人たちの思惑、板挟みにあう行政の右往左往などにより、オープンが遅れに遅れます。
それでも、関係者は様々な問題に翻弄され、ウンザリしながらも、冷静に、自分たちの愛する美術館をより良いものとする為に行動していきます。
印象的なのは、市民がしっかりと意見を言えるという社会が形成されているところです。そこに自主自立の精神を垣間見ることが出来ました。では、私たちはどうでしょうか?考えさせられます。
全体的に静かで淡々と進んでいく映画ですが、最後まで面白く見ることができました。
アムステルダムはトランジットでしか立ち寄ったことがないですが、一度ゆっくり訪れてみたいと思いました。
宮野 人至 ㈲宮野人至建築設計事務所