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”まちに出た、建築家たち。”ーNPO法人家づくりの会

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「ホタルナ」初体験

先日の日曜日は家族からのリクエストに応え、アニメ界の巨匠である松本零士氏がデザイン監修をした「ホタルナ」(水上バス)に乗るために、日の出桟橋に向かいました。
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10年程前に同氏が手がけられた「ヒミコ」を隅田川でたまに見かけては、流線形のガラス屋根とシームレスなフレームによる造形にソソられながら、夏場は暑くないのかなぁ~などと、いろいろ思いを巡らせつつ機会があれば乗ってみたいと思っていました。

「ホタルナ」は就航してから未だ3年目という新しい船なんですね。てっきり「ヒミコ」だと思っておりましたが、「ヒミコ」の就航から8年経過した時期に定員を増員して更に屋外に出ることが可能なデッキを設けた「ホタルナ」が誕生したそうです。
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デッキを設けるには意匠とのバランスが難しかったに違いありませんが、違和感無く上手に実現されています。

ちなみにこちらはお台場海浜公園に停舶中の「ヒミコ」をパチリ。
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こちらが元祖のデザインですね。

前のホタルナの写真を見返すと、定員を倍以上に増やし更にはデッキを設ける事で単調なデザインになってしまわぬように、曲面ガラスから更に出っ張らせた楕円体のアクセントを設けてイメージのバランスを計っているようです。

これはあくまでも意匠上のもので機能的には全く意味のない飾りですが、その気にさせられてしまいます。
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内部もこのとおり、流れるフォルムとともに気持ちの良い開放的な空間です。

建築界では造船の技術を用いればどんなカタチでも実現可能であると言われます。しかもここは水が降るどころか水の上ですが、当たり前のように居住空間には一滴足りとも浸水はありません。(笑)

なぜ建築界では雨漏りを筆頭としたトラブルが絶えないのかと疑問視されるかもしれませんが、これには相応の手間(溶接コスト)があってこそ。

建築界では本当に特殊な案件を除いては、施工性や経済性に意匠性の各々のバランスを計りながら最良解を導きだすことが求められるものです。
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そんなことを直線的な造形を基本に、アクセントとして球体が一部だけに用いられている、フジテレビのビルをデッキ上から眺めて思った次第です。

話が飛躍してしまいますが、良くも悪くも現在話題の渦中にある新国立競技場の流線的な造形が、いかに特殊であるかも少しお解りいただけるかもしれません。

しかし、それらの制約は、ある意味長年設計をしているなかで体に染み込んでしまって、造形を与える上で想像の幅を狭めてしまっているのではないだろうか?たまにはそこから離れ、純粋にそこにあるべき姿を思考してみることを忘れてはないだろうか等々考えてしまいました。

アンビルドの女王とも言われる競技場の設計者、ザハ・ハディッドですが、そういう意味でも只者ではないことは確かです。たまに思考をシフトしたり行ったり来たり巡らしたりと、頭を柔軟にしておきたいものです。
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お台場海浜公園にて下船するとそこは東京湾とは思えないプチリゾートでした。
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こちらは帰路の幻想的な風景。

後で知ったのですがホタルナのインテリアデザインは、かの建築家、永山裕子氏がてがけられたとか。
夜の照明に照らされた内部空間もとても素敵なようです。

今回は時間の都合上、最短航路の往復でしたが、時間が許せば隅田川を北上したくなりました。


(杉浦 充/充総合計画)
by npo-iezukurinokai | 2015-07-02 22:52 | 杉浦 充 | Comments(0)
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