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”まちに出た、建築家たち。”ーNPO法人家づくりの会

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最後に 魅せる架構

いろいろ書き込んで参りましたが、マツザワ設計の仕様の一部です。今後もいろいろ増えたり、減ったり、変わったりして行くとは思いますが、根底にあるものはずっと変わらないと思います。

マツザワ設計の一番のポイントかも知れませんね。構造を魅せる!

木が好きで、たくさん使いますが、これは環境のためだったり、健康を考えてだったり、建材として優れているからだったり、住宅を創るのに向いていて永く付き合える素材だからだったり・・・いろいろ訳はありますが、意匠的にはきれいに見せたいと思っています。

露出させることによって、木が吸放湿をしたり、木の経年変化を楽しめたり、木の様々な木目や年輪などを楽しめたり、安心感が伝わったり・・・いろいろ良いところがあります。木を魅せる場合、広葉樹の柱や梁を見せる場合と、杉などの針葉樹を見せる場合とデザイン的には少し違うように思っています。広葉樹(雑木)については、きれいな木目を如何に魅せるか?考えて、表面の加工も決めて参ります。太鼓に落としたり、殴ったり、一部だけ削ったり、そのまま使ったり・・・いろいろ考えます。木によっていろいろ表情も色も肌も違うので、この時が結構楽しい時です。また、その広葉樹の組合せも楽しみです。グリーンスマイルの細田さんや吉田建築さんの所に転がっている丸太や板を見ながら、もしくは設計に合わせた木を探してもらったりして、あれこれ考えます。自分で楽しんでいる訳では無いのですが、建て主さんには事後承諾に近い報告になってしまう事も多々有ります。置いてある木は汚くて、グロテスクで、とても完成時の状態を想像出来るものではありません。たぶん・・・。それを見ながら、決めていくので相談しながら・・・はなかなか出来ないんです。岩手に行って、選ぶ事もあり、出来れば建て主持ちの交通費で、温泉にでも浸かりながら行ければ幸せなのですがね。また、その場で決めなければならない事が多く、スタッフにも任せられない仕事になっています。私の独断と偏見で決まってしまう部分かも知れません。加工時には、きれいになった姿を建て主さんにも確認して頂きますが、その時期でもまだ家の一部になった状態はイメージし辛いかも知れませんね。

針葉樹(杉)の架構はフレームをきれいに見せたいと思っています。金物は見せずに、大工の腕を見せます。また、部材も単純に柱4寸と梁8寸と尺梁・・・の組合せではなく、様々な検討を行って、8寸角や9寸角の梁を採用する事もよくあります。山から出てくる木のサイズを考えると、梁成の大き過ぎるものは不経済になり、また手に入らないので、断面係数を考慮して、角材とする事もありますし、民家のような美しさを求めて、角材を使うこともあります。全体にバランスの取れたフレームは、強度面でも有利です。また比較的大き目の部材を使うので、端部の処理には気を遣います。規則正しい、きれいな架構は気持ちの良い空間を演出してくれます。逆に構造から間取りの制約を受ける場合もあり、基本設計では苦労しますが、結果的に構造的にも、意匠的にも良い建物になるので、設計の頑張りどころです。
最後に 魅せる架構_d0021969_2033677.jpg


何度か、背梁といって、建物の中央付近に、背骨のように太い太鼓丸太を平に使う事がありました。今、水平剛性は合板で取るのが一般的ですが、火打ちだけではなく、このような背梁と太目で長めの梁の組合せで組み上げる手もあります。残念ながら法的には評価されませんが、昔からの大工の知恵とを活かし、粘りのある建物を目指したいと思っています。力学的にも根拠のある事で、破壊する前にはかなりの力を負担してくれます。

こんな木組み・・・もっときれいに、もっと強くしたいと思います。

松澤静男/マツザワ設計(NPO法人家づくりの会所属)
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by npo-iezukurinokai | 2008-03-08 20:33 | マツザワ設計 | Comments(0)
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