栃木の佐野市にある製材所にやって参りました。
最近ではあまり使われなくなった日本松の小屋丸太ばかりを扱うきわめて希な製材所です。
松が多く茂る小高い山が迫った国道の向かいにこの製材所はあります。
工務店さん、材木屋さんと構造材の打ち合わせをする傍ら、気になる丸太が二本。。。
雨ざらしになって無視され、人目を避けて傍らに放置されています。
表面の樹皮(しらた)は、朽ちて傷だらけになったその丸太が私を見ているようです。
何事も出会いはご縁です。
元口と末口のバランスがよく、何か筋の良さが感じられ、期待が持てそうです。
材木屋さんの顔色を見ながら、思い切って相談してみると、好意的な値段で製材屋さんと話がつきました。
材木選びには「賭」に近いものがあり、緊張の中、その場で製材することになりました。
職人さんの「スイッチオン!」で、高音の機械のこの響きとともに一皮剥けた瞬間、中からはすばらしい木目が顔を出しました。
職人さんの「大当たりですね!」という一声で、この瞬間、材木を囲む笑顔と21センチ角のすばらしい栗の芯柱が誕生しました。
濱田昭夫/TAC濱田建築設計事務所
(
NPO法人家づくりの会所属)