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”まちに出た、建築家たち。”ーNPO法人家づくりの会

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コストと性能

これは私にとって非常に大きなテーマです。このバランスは設計者によって様々です。ここに当然、意匠性・デザインも入って来ますよね。まあ、ややこしくなるのでデザインは置いといて・・・。

よく「坪いくらですか?」って聞かれます。一瞬、考え込んで、いろいろ言い訳をしながら坪60万円とか、70万円とか言います。安いハウスメーカーが坪30万円とか40万円って言っている時に、この差をしっかり説明するのは結構大変です。

時間軸を取り入れ、通常20年で壊してしまう家を、50年以上持たすので、結果的に安上がりです。こんな答えもあります。でも、このくらいじゃ納得してもらえませんね。

そこで性能が出て来ます。性能と言っても、先ずはランニングコスト。造って安くても、維持費がたくさん掛かってしまってはNGです。耐久性も確かに必要です。メンテナンスフリー・・・これも大切ですね。そして、省エネ住宅。エネルギーを消費しなければ、ローン返済中も、育児期間も楽ですよね。でも、快適でなければNGですよね。

そこで、いつもの手?として、外断熱でしっかり断熱した家で、太陽熱利用をします。太陽熱利用の予算が取れない時は、ちょっとした工夫の換気システムを取り入れ、家中の温度を快適で均一化し、エネルギーを消費しないようにします。これは予算が十分有っても、ローコストでも同じようにします。

安い家が出来ても、快適でなく、楽しくもないのでは、家づくりに成功したとは言えませんね。また、安全性も大切です。子育てをするにも、そうでなくお年寄りにも、自分たちにも安全な家にしたいですね。落下防止・・・なんて話しじゃなく、シックハウスなど、家に使われる素材や薬品の話しです。

最近ではフォースターなんて言葉が、アチコチで聞かれますが、安全な建材が十分に出回っています。でも、まだまだ注意も必要です。この辺りは、建て主ではガードしきれないでしょう。設計者、施工者がしっかり勉強し、管理しないと安全な家は出来ませんね。そのような事にも注意を払いながら、コストも抑える・・・これが結構大変なんです。

こんな事をしていると、坪単価も下がりません。でも、費用対効果?では、非常にリーズナブルになっていると思っています。単純に坪いくらが言えない理由がこんなところにあります。つまり、価値観を共有しないと説得出来ないんです。

同じように県産材利用もなかなか説得力がありません。環境や産業、生活・・・そんな話しをしないと、安いとか性能が・・・なんて話しでは説得出来ないんです。でも、良い事だし、しなければならない事です。いろいろな味付けをして、建て主さんに木の良さ、地元の木を使う事の大切さを知って頂き、そんな家づくりを進めています。

建築家がデザイナーや技術者・・・だけではない一面を持っていることに気付いて頂けると思います。

この日記を書いた人
  →NPO法人 家づくりの会所属建築家 マツザワ設計/松澤静男

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by npo-iezukurinokai | 2005-06-28 06:46
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