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”まちに出た、建築家たち。”ーNPO法人家づくりの会

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世田谷散歩 その六

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高原の別荘にきたような、清清しい気分を味わわせてくれたアトリエ館を後にして、戻りがてら気ままにぷらぷらと桜新町方面へ住宅街を歩いてゆくと、家並みごしに突如巨大な構築物が見えてきました。

ここは駒沢給水所。

巨大な円筒状の給水塔が2棟、鉄橋によって結ばれています。
2棟の同じ形をした給水塔は、ヨーロッパの古城を思わせるようなロマンティックな風貌です。


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後で調べてみたのですが、この給水塔の完成は、なんと大正12年(1923年)、およそ築90年。
設計には、水道事業の近代化に大きく貢献し、近代水道の父と呼ばれた中島鋭治がかかわっているとのこと。この施設は、大正期の渋谷町(今の渋谷区)が起した事業の一環なのだそうです。

渋谷町では当時、急速な発展による人口増加で、井戸水がかれたり水質が悪くなったりして飲料水が不足し、町営水道の創設が待ち望まれるようになりました。そこで渋谷町が事業を起し、近代的な水道施設を整備して、多摩川を水源として取水された水を、河畔にある砧浄水場で濾過した後、ポンプでこの駒沢給水場に送り、渋谷町に配水していたそうです。
今ではその役目も変わり、震災など非常時に備えた貯水タンクとして使われているようです。

残念ながら、敷地の中は非公開のようですが、街路からながめていてもその威容は十分に伝わってきます。


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今回訪れたそれぞれの場所は、事務所から気軽にぶらりと散歩していけるところでしたが、身近なところにもいろいろな歴史が刻まれているものだなと、あらためて感心しました。
by npo-iezukurinokai | 2012-05-26 18:39 | TAC濱田建築設計事務所 | Comments(0)
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