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”まちに出た、建築家たち。”ーNPO法人家づくりの会

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素材と技術を巡る旅 その1 大谷石

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今週ブログ担当の根來です。今週は「素材と技術を巡る旅」をお伝えしたいと思います。
(内容は、家づくりの会が主催している家づくり学校の授業に基づきます)

まず初めに、宇都宮を産地とする『大谷石』。
フランク・ロイド・ライトが設計した帝国ホテルで多用されている石ですね。
『大谷石』の採掘場は、地下掘です。
有名な大谷資料館(採掘跡地)に行ったことある方も多いのでは。

ここでは、掘り起しが始まったばかりの採掘場の様子をご紹介します。
もちろん危険な場所ですので、誰でも見れる訳ではありません。
実際採掘している地下掘りの現場を見る機会なんて、そうそう体験できることではなく、
かなりラッキーな経験でした。

コンクリートで固められた入口から、作業者用の足場を、ドンドン下りていきます。
宇都宮の地面を掘れば、直ぐ『大谷石』が出てくる訳ではありません。
表層度を深く掘り進め、7×7mのコンクリート擁壁を作りながら掘っていきます。

途中でコンクリート擁壁と大谷石岩盤との結界ラインに到達します。
さらにドンドン下りていきます。かなり怖い・・・。
下から「おーい」と叫ぶ先発部隊がいますが、下が深くて、全く見えません。
石に響いて、とても綺麗な声に聞こえるのです。
素材と技術を巡る旅 その1 大谷石_d0021969_14593664.jpg

暗い足場。ジメジメした地下空間。
壁面には大谷石から湧き出た水が、滴っております。
上からは水がポタリ、ポタリと頭や洋服に落ちてきます・・・。
素材と技術を巡る旅 その1 大谷石_d0021969_14595243.jpg

坑内は周到された平面図と断面図によって計画されており、地下都市の様でもあります。
地上から50mの深さに平場に到着。
ここを起点に、横に平場空間を広げ、さらに深さ30m採掘していくそうです。
このように採掘を続けていくと、大谷石資料館のように大規模な地下空間になるのですね。
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切り出される原石のサイズは、300×300×900mm。
一本一本チェーンブロックで引き上げられます。
昔はこれを人の手で荷揚げしたそうです。大変・・・。
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この地下採掘場の見学は、私にとっての人生観、
そして建築に対する設計観を大きく変える刺激的な経験でした。
地下にいる間、ずっと足は震えっぱなし・・・。
恐怖でしょうか、寒さでしょうか、足場を下ってきた肉体的なものでしょうか、・・・。
いや初めて経験する非現実的な感動に違いありません。

根來宏典
by npo-iezukurinokai | 2013-01-21 15:03 | 根來宏典建築研究所 | Comments(0)
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