
我孫子駅近くにある『アインズ』という松岡信夫さん率いる工房。
鍛造による鉄の造形に勤しむ物づくり集団です。
工房にて作業風景を見学。例えば、表札などに使われる名前の型取り。
簡単そうに見ていたのですが、これが出来るようになるには、10年くらい掛かるそう。
ガスバーナーの火の強さや鉄の厚みとの関係を熟知してこそなせる技。
10年かかっても、出来ない人は出来ない・・・。
今回、職人技を披露していただいた方は優秀で、3年くらいで出来るようになったそうです。

上の写真は、鉄を叩いて、フックを作っている様子。
熱した小さな鉄を叩いて、延ばして、壁に刺す用に先を細くして、引っ掛ける部位を曲げて。

熱して、曲げて、凹まして、延ばして、また熱しての繰り返し。
松岡さんは「鉄は柔らかく、温かみがあって、動きがあって、力強い。
そして作家の意のままに操ることができる自由な素材ですよ」と言う。
鍛える鉄と書いて『鍛鉄』。鉄は、熱いうちに叩かねばならない。
一叩き一瞬が真剣勝負。鍛鉄職人の鉄を叩く姿は、
まるで鉄に命を吹き込んでいるかのようでした。
工房には、所狭しと、鉄で出来た作品が。匠の技のポストや衝立、照明器具などなど。
野ざらしですが、鉄は自然とともに風化し、味のある仕上がりになるのでしょう。
ある物ある物が芸術作品に見えてきます。

アインズ製作のテーブルやベンチ。
テーブルやベンチの天板は味のある風合い。そして足は松岡さん独特のアイアンワーク。
板と板を繫ぐ『かすがい』にもオリジナリティが溢れております。
根來宏典