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”まちに出た、建築家たち。”ーNPO法人家づくりの会

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鎌倉落選、つづき

今日もまた、鎌倉の続きです。
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新聞などの記事によると「都市化の影響を無視できない」「社寺はあるが武家の権力を示す遺跡が少ない」などがイコモスの「記載せず」の評価につながったと報道されています。
後者の武家の権力を示す遺跡が少ないと言うことは「武家の古都・鎌倉」として申請したこととも関係があるのでしょうが、私が個人的に危機感を持ったのは都市化の影響を無視できないと言う判断です。
構成資産の一つである荏柄天神社の参道付近で進むマンション建設計画は当初の計画よりも建物の高さを低くしたことを受け、市が計画を認定してます。この場所は源頼朝が打ち立てた幕府跡の近接地で景観や環境を保護する緩衝地帯となっている重要な場所ではありますが、幕府跡と言われる場所は現在小学校であり、普段の生活からはとても鎌倉時代の重要中心施設が有ったことが推測できない環境です。
私を含め、多くの建築家が同じ場所にマンションの計画を頼まれたら、環境に配慮しつつも建設計画を進めていくでしょう。そして我々が十分に環境や歴史的なコンテキストを配慮して計画案を造ったところで、それは計画すること自体が「都市化の影響を無視できない」という烙印を押されてしまうのではないかと言う危機を感じざるを得ません。

昨日述べた通り、鎌倉の街並みは昭和の初め頃から文化人や芸術に携わる人々によって再構築され、比較的敷地面積の大きなお屋敷が緑多い住宅地を形成していきました。現在その多くの住宅が相続問題などでディベロッパーに渡ったり、切り売りされておもちゃの街のようなカラフルな無国籍の外観の小さな住宅地に変貌しています。生け垣の続く曲がりくねった路地を気持ちよく歩いているとそれらは唐突に姿を現します。しかも、この十数年でそのような光景は急激に増えてきています。[都市化の影響」とはこれらも指しているのでしょう。

ヨーロッパに眼を転じてみるとその中世の町並みは法律によって厳重に保護されています。旧市街中心部の建物は一軒一軒ランク分けされて自由に改装することを法律によって規制されます。屋根瓦を取り替えることはもちろん、自由に窓を取り付けることや逆に窓を取り払うことも規制されます。名も知れない小さな街であっても同じような規制で建物は保護されて,景観を保つ努力をしています。これらの努力は行き過ぎると、中世の一時期を切り出して保護しているだけで、都市の活溌な変貌を妨げていると言う批判にも通じます。

「活溌な変貌」と「保護されるべき良好な環境」と言う相反する二つの間を行き来しつつ、悩みながら我々建築家は街づくりに関与していく訳ですが、家づくりの会に所属する建築家たちも同じような悩みを抱えつつ日々の小さな住宅の仕事をしています。
家づくりの会に所属する森ヒロシさんも鎌倉在住で地元を中心に仕事をされていますが、どうお考えなのでしょうかね。コメントを頂ければと思います。

Kei Morozumi/studioANPO法人家づくりの会所属)
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by npo-iezukurinokai | 2013-05-02 09:57 | 諸角 敬 | Comments(0)
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