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”まちに出た、建築家たち。”ーNPO法人家づくりの会

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家づくり、皆に共通する仕組みも気にしてみない?

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「建築家」のように末尾に「家」という文字が付く職業は、自分の味を売る職業のため、他との違いを気にし、自分の固性を強調しようとします。設計者は特に、依頼者の固別の条件の中から固有の特徴を引き出し、他にない良さというか特性を生み出してあげようとするから尚更です。
でも今日は、固有性より誰の家にもある共通事項の重要性について話したいと思います。
写真の家は、FSB工法と言って、私の事務所で開発した木造軸組み工法の一種で、那須町に建てた住宅です。これは壁に板を貼っているのではなく、壁そのものが、柱と同寸の角材を実(さね)材を挟みつつ、立て並べて壁にし、そのまま仕上げにした住宅です。今、釜石を中心に、被災地で5棟ほど同じ工法でたてました。
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この被災地タイプの住宅は、設計者は自分の固有性は殆ど出せず、丁寧に考えてあげるだけで、施工性優先です。現在も数棟計画中ですが、工事屋さんが忙しく、待っていただいています。被災地の場合は仮設住宅で暮らしている方のための家が殆どなので、坪単価40~50万円で建てています。

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写真の那須町の家の単価は77万円でした。下の写真はその建て並べた壁に和紙を直に貼った部屋の写真です。廃棄処理に苦労する石膏ボードを使用しません。木を露わにすることに抵抗ある方には、このような白い壁にすることもできます。和紙ですので、通常の住宅の3~4倍ある木材の蓄熱性能と調湿機能は損なわれません。
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この家を紹介しようとしたのは、この工法は木材を通常の工法より3~4倍多く使用します。そのため、林業を活性化することになります。林業が活性化し、森林整備が盛んになれば、二酸化炭素の吸収固定量が多くなり、地球温暖化の速度を少しながら遅延させます。
でも現在の日本では、住宅の平均寿命は30年未満です。これだといくら木造で家をつくっても、50年かかって生育した木材を30年で焼却することになり、結局二酸化炭素を増大させることになってしまいます。

写真で紹介した住宅のFSB工法は、住宅が不要になった時、解体が容易で解体した部材は再使用できるように、あらかじめ最初から考えられた工法です。だから、自分の子供の代になった時、無理やり親の住宅を使い続ける必要がなく、解体部材で子供なりに、新しい(?)間取りで住宅を作ることができます。焼却もせず廃棄物も出しません。

どうも共通のことではなく、固有性の話をしているように聞こえるかもしれませんが、工法とは、実は誰にも共通するものの話であるからです。つまり紹介したFSB工法でなくても、大量の木材を使用して、使用した部材が容易に再使用できる、又は60年以上焼却されないことを保証できるものであれば、家を作るということが地球環境の改善に少しながら貢献することになるのです。個人の果たせる量はほんのわずかですが、それでも少なくともFSB工法で建てると、一軒の住宅で1ヘクタールの森林整備が進められます。FSB工法で建てる場合は、必ずトレーサビりティーを明確にする報告を義務付けています。ですから重油を消費し続け、船で運ばれてきた外材の使用はさせません。材木の出荷地を登録させ、だれにも明らかになるように開示します。形やデザインのような固有のことは自由にできます。皆に共通する工法のことを考えて、多くの方が環境を改善していく工法で建てるようになれば、社会を少しづつ変える力になるのです。少なくても自分だけでもいいからそのような力になりたいと思われる方が多くなっていくことを期待しています。藤原昭夫/結設計
by npo-iezukurinokai | 2015-03-06 20:25 | 結(ゆい)設計 | Comments(0)
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