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”まちに出た、建築家たち。”ーNPO法人家づくりの会

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規格と手仕事のハザマ考

我が家ではまだ小さい子供との入浴時には床にマットを敷いています。
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そのマットが眼に入る度にパンチングされた穴とマットの縁の余白の距離について、視覚的なバランスについて違和感を感じます。
(職業病かもですね…笑)

外周部分の余白が少ないことが一つの違和感の原因ですが、しかもその寸法が短辺と長辺で異なっていることが更に違和感を増長させています。

設計する際には穿孔のピッチや余白が自然に見えるように検討するわけですが、一般的に一定の長さにある規則性のある要素同士の距離の1/2の長さよりも、両端の余白代が大きくなるようにレイアウトする事で視覚的な違和感を少なくすることができると言われます。

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これは前の写真のバスマットを図面化したものです。

よく見るとこの製品は工業的な観点のみで機械的につくられたことが見えてきます。

プログラムとして、
1.大きさは 100㎝×60㎝
2.穿孔のピッチは芯から芯で6㎝

単純なこの2つのコマンドによってできているにすぎません。
ここには、「より自然に見えるように」「より美しく」というような意匠的な概念は殆どみられないことが分かります。

開口間の芯から芯の寸法は6㎝のため、計算すると長辺方向の余白は2㎝となり1/2以下です。短辺の余白の長さは3㎝となり1/2以下(ジャスト)です。

6㎝の半分以下ということが違和感の原因ですが余白寸法が小さいほど、その誤差の割合を大きく捉えてしまうのでより不自然に見えてしまいます。

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こちらは余白が開口間の寸法の6㎝よりも大きくなるように穿孔位置をX方向、Y方向共に3㎝ずらし、更に余白も同じ長さに揃うように短辺を2㎝だけ小さくしてみました。いかがでしょうか?

しかし間の見え方は常に縦横比に影響を受けますので、長方形の場合は長辺の方の間がなんとなく小さいように見えませんか?

そこで、今回は長辺の余白が少し大きくなっても視覚的なバランスが保てそうなので基の大きさに戻して描いてみました。
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生産合理性と意匠のバランスを計る作業ですが、このようなところにも設計者やデザイナーの意義があると思います。しかし結果物をよくよく観察しない限りは、そのような過程は目に見えてきませんので一般的にはなかなか理解できないことと思います。

設計(デザイン)はこのような行為の繰り返しのなかで、より良いものに収束させていく作業ですが、出来上がってしまえばその過程での一つが存在するのみであり、ここに至るまでの時間のかけ方の差異は見えません。

設計に時間をかけなければ多少辻褄が破綻していても機械的に進めるよりありません。なんかこの空間はしっくりしないなぁという結果はこのようなところから生じていることをご理解いただけたら嬉しいです。


(杉浦 充/充総合計画)
by npo-iezukurinokai | 2015-12-13 12:27 | 杉浦 充 | Comments(0)
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