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”まちに出た、建築家たち。”ーNPO法人家づくりの会

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たかが紙、されど紙

設計を助ける仲間たちに、忘れてならないもう一つの仲間がいる。
昨日書いた仲間たちが、アクティブ・トゥ−ルズだとすると、
今日書く仲間たちは、さしずめパッシブ・トゥ−ルズだ。

紙がなくては、図面として表現できない。
パソコンになってから、
ちまたでは、図面をデーターで残すようになっているようだが、
ブライシュティフトは、データーの他に、
必ず原図として紙で残すようにしている。
場所はかさばるが、安心感がある。

パソコンで描いた図面をプリンターで印刷するときの紙は、
スタッフに任せている。
私が使う訳ではないので、口出しは出来ない。
但し、不要になった図面は、必ず裏も使用することになっている。
私のメモ用紙は、使った図面を何枚にも切り分け、その裏を使う。
私の修行時代の7年間、このメモ用紙をつくるのが私の仕事だった。

たかが紙、されど紙_d0021969_21451128.jpg


やはり、私が使う紙については、こだわりがある。
最近使う量は激減しているが、
トレッシングペーパーはスタードラガーの中厚口50g/㎡、
廻りの折り返しの縁取りがクリーム色で、6mm程度の幅。
色付きの縁より品が良く、それでいて存在感がある。

たかが紙、されど紙_d0021969_21445566.jpg


枠廻りを描く紙は、オストリッチのB4のセクションペーパー。
紙厚は厚口81.4g/㎡。
セクションのブルーの薄さが、思考を邪魔しない。
コピーをして現場に渡すときは、セクションは写らない。
枠廻りを原寸で描くと、大きすぎて廻りとの関係性が見えなくなる。
1/2の縮尺は、大きな断面だと原寸と勘違いする。
やはり枠廻りは1/5にかぎる。
廻りとの絡みも表現でき、細かい部分を考えられる。
この1/5の枠廻りが適度な情報量でしっくり納まるのがB4サイズ。

なんと言っても、一番のこだわりは、スケッチ用の紙。
基本スケッチから始まり、詳細スケッチまで、
全てはこの紙から住宅が作り出される。
鉛筆の載りが良く、重ね描きするときの透過性も良くなければならない。
当然、紙として腰の強さも必要。
市販のトレッシングペーパーは、硬い芯には良いが、
スケッチをするための柔らかい芯には不向き。
紙がヤスリ状態になり、鉛筆の芯が紙に上で粉を吹いてしまう。

たかが紙、されど紙_d0021969_21444178.jpg


22年前の独立当初、探して探して、そして決めた紙。
三菱製紙から取り寄せた見本帳から選んだ紙は、
チャンピオンコピー40g/㎡の880×635サイズ。
35g/㎡だと腰が弱いし、50g/㎡だと透過性が悪くなる。
しかしこの紙は一般に市販されていないので、
問屋に出向き、500枚1包みを購入する。
最近では3年前に3包み購入している。
そして、この紙をA2、A3、A4に切り分け、使うことになる。

はたから見ると、どうでも良いことのように見えるが、
長年の積み重ねで、変なこだわりがつくられてしまう。

本間 至/ブライシュティフト
NPO法人家づくりの会所属)
by npo-iezukurinokai | 2008-11-18 10:49 | Comments(0)
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