ブログトップ

”まちに出た、建築家たち。”ーNPO法人家づくりの会

iezukuri1.exblog.jp

石造りのように柔軟な

紹介せずにはいられない、「石造りのように柔軟な」という変わった題名の本です。
この本は北イタリアの伝統的集落、建物の調査報告書みたいなものだけど、ちっとも堅苦しくはない。
へー、そうなのかと、新しいものの見方が散りばめられている。

それにしても、なぜこのような本が東洋の果ての日本で翻訳されたのか、読んでみてよく分った。
近代化によって人間と環境のなじみ深さが失われつつあることへの喪失感には、今や絶望感すらあるが、それはイタリアでも同じことらしい。
ヨーロッパの国々は日本に比べたら、まだましだと思っていたがが、そうでもないらしい。
ところでこのような本は、ややもすると牧歌的なノスタルジアに終わることが多い。
しかしこの本はかつての集落のありようをきわめて冷めた目で、なぜこのような形態になったかを実体の観察の中から解き明かしている。
北イタリアの美しい景観が表層的な理解では解き明かせないもので、実は日常の人間の生存と環境との深いかかわりのリアリティーの中から生み出されたものであることを理解させてくれる。
それは、美しさと生活のリアリティーとの関係、この問いへの解明を一歩進めさせてくれるかもしれない。


d0021969_15375753.jpg石造りのように柔軟な: 北イタリア山村地帯の建築技術と生活の戦略
  • Andrea Bocco,Gianfranco Cavagli`a,多木 陽介
  • 鹿島出版会
  • 価格¥ 3,132(2018/02/08 12:28時点)
  • 発売日2015/04/01



この本を読みながら、じゃー、現代の僕たちは建築や街づくりをどう考えたらいいのだろう、と思った時に、やはり帰り着いたのがこの本。
この本も生活のリアリティーに根差している。
名著中の名著ですね。

d0021969_15384390.jpgパタン・ランゲージ―環境設計の手引
  • 平田 翰那
  • 鹿島出版会
  • 価格¥ 10,584(2018/02/08 12:28時点)
  • 発売日1984/12/05



またもう一つ、日本の美しい茅葺屋根が人や地域とのかかわりのリアリティー中から生まれたものであることを解き明かした名作がある。

d0021969_15384912.jpg新版 茅葺きの民俗学―生活技術としての民家―
  • はる書房
  • 価格¥ 2,160(2018/02/08 12:28時点)
  • 発売日2017/07/20





興味のある方は、http://www.izumi-arch.com/blog/9083/から…
泉 幸甫/泉幸甫建築研究所

[PR]
# by npo-iezukurinokai | 2018-02-08 15:47 | 泉 幸甫 | Comments(0)

日本一の大仏に願掛け Ⅲ 佳水園

京都は「都ホテル」に泊まる。
都ホテルというのは昔の呼び名で、今は「ウェスティン都ホテル京都」という名前に変わっている。
都ホテルの離れに数奇屋の「佳水園」(かすいえん)がある。
設計は村野藤吾、1959年竣工。
築50年以上になるが、チッとも古くならない。
もともと村野藤吾は戦前よりこの都ホテルの設計にかかわっていて、佳水園だけでなく、ホテルのいたるところに村野ワールドがある。

しかし何といっても佳水園は村野の代表作の一つでもあるから、特別なもの。


村野さん68歳の時の作。
村野さんは93歳まで仕事をし続けた人だけど、一般の世界から言えば68歳になると仕事から引退した人がほとんど。
村野さんにとって68歳は青二才だったのかもしれない。
エネルギーに満ち溢れた仕事だ。
勿論、才能もあるのだろうが、気力、イメージが漲り、それが設計に乗り移らないとできない建物だ。
設計をする者から見ると、村野がこの建物の設計にどれだけ渾身の力を注いだかが見えてくる。

実はこの建物を見るのは3度目。
以前は見えなかったが、今回始めて見えてきたものがあった。
村野の作り方というか、やり口というか、そういうものがいくつか分析的に掴めた。
あー成る程、こうやると村野の世界は作れるのかと。
で、それは何かと言うと、申し訳ないがヒ・ミ・ツ。
ただ少しだけ開示すると、一つに隅や端の扱い方に神経が行き届いている。
写真から探してみてください。

村野はこの佳水園の設計の頃から、今やっている仕事を人生最後の仕事と思いながらやり続けたらしい。
そのような覚悟が93歳まで続いたのだろう。
やはり、凄い。


泉 幸甫/泉幸甫建築研究所


[PR]
# by npo-iezukurinokai | 2018-02-08 15:13 | 泉 幸甫 | Comments(0)

IJU(移住)計画〜ほどよい田舎で気持ちよく暮らそう!

こんにちは
本日の窓口当番
アトリエ・アースワーク 山下和希 です

今日も高速バスに乗って長野県安曇野市から上京しました。
暦の上では立春を過ぎたとはいえ、最低気温は毎日氷点下、時折雪も舞い、安曇野の春は遠く感じられます。
1月の最終週は二日続けて最低気温が氷点下14.5度、13.6度となり、買ってきて一晩車内に置き忘れていたコンタクトレンズの水が凍って、まるで美味しそうなフローズンデザートのようになり、幼稚園教諭の長女が自宅での制作のために園から持ち帰った水のりも、車中に一晩置いていたがために凍ってしまいました。

そんな信州ですが、「雪」や「氷点下」に縁遠かった和歌山県出身の私たちには、まだまだ好奇心を掻き立ててくれる日々の暮らしがあります。
雪が積もってもフーッと吹き飛ぶような軽い雪だったり、重く湿った雪だったり、凍ったフロントガラスの模様が毎朝違っていたり、霜柱をザクザクと踏んで歩いたり、長靴履いて雪の中を歩くことも楽しいし、日差しで融けた氷雪の中に新芽(新しい葉っぱ)が芽生え春の準備ができている……
ワクワクの数は数え上げればきりがありません。

私たち家族は信州での暮らしを夢見て7年前に和歌山県から移住をしたのですが、これまでにHPやブログを見てくださった「信州に移住したい」と思う多くの方々から移住相談を受け、暮らしのアドバイスをさせていただいたり、移住の住まいを計画するなどしてきました。

昨今では都市部で暮らすよりも、近郊の地方に住まいを移したいと考える人々が増えています。
そこで、この度、私たち「NPO法人 家づくりの会」では、有志による「(仮称)IJU(移住)計画〜ほどよい田舎で気持ちよく暮らそう!」を発足させ、「地方への移住とすまい」について考え、「地方に住まいを移したい」みなさんとの家づくりを一緒に考えていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

d0021969_15431722.jpg
d0021969_15390168.jpg
d0021969_15432005.jpg
d0021969_15373431.jpg
d0021969_15164771.jpg
d0021969_15432597.jpg
d0021969_15432377.jpg

[PR]
# by npo-iezukurinokai | 2018-02-06 15:56 | 山下 和希 | Comments(0)

木の音

昨年より新木場「海床」というプロジェクトに関わっている。かつて新木場は木の街と言われ栄えた。しかし近年、木材店や製材所、木を扱う業者は激減し、貯木場に大量に浮かんでいた丸太の風景も、今は見ることが出来ない。
逆境に立たされた材木屋の2代目3代目が集まり「新木場の水面に、もう一度木材を!木のある風景や歴史と文化を次の世代に!」そんな想いからこのプロジェクトが始まった。
目標は、貯木場を利用し、水上カフェやゲストハウス、木製フローティングハウスを中心とした新木場の新たなまちづくり。
d0021969_19194871.jpg
試行錯誤しながらイベントや企画立案を繰り返し、江東区や地元の人などと連携し東京都の「地域資源発掘型実証プログラム事業」に採択されることとなった。
2/11には「木の音」とテーマを決め、貯木場にイカダや東屋、ステージを浮かべ木を使った演奏やパフォーマンスのイベントを実施する。貯木場に木の家が浮かぶ日まで先は長いが、ちょっとぶっ飛んだ楽しみなプロジェクトなのだ。

「木の音(きのね)~umidoko~ Sound of Wood」開催概要
開催日:2018年2月11日(日)~2月18日(日)
開催場所:江東区新木場3-6-6(+隣接する水面)
開催趣旨:新木場貯木場にある風景を取り戻しつつ、新たな木の街・新木場を作り出す。
参加費:無料(ワークショップのみ材料費実費が必要です)



[PR]
# by npo-iezukurinokai | 2018-01-28 19:22 | 吉原 健一

自宅でカフェをひらく

「自宅の一部を改修して、CAFEをひらきたい

そのようなご依頼をいただき設計がスタートしました。
周辺は住宅街、木造2階建ての1階部分を居間と和室を店舗にして和室の床の間を思い切ってこわし、街に開く入り口ができました。


d0031378_05594093.jpg


とてもローコストでの工事、解体した床柱や、ドアや引き戸など使えそうなものは別の場所で再利用しました。外壁やサッシも出来るだけ壊さないようにして、費用を抑えつつプランニングを行っています。


「茶室」

ずっと夢であった、自宅に茶室をもつこと。

ほんの小上がり程度の部屋でいいですというオーナーさんのリクエストでしたが何とかして叶えてあげたいと思いました。通常お茶室に用いる材料は非常に、非常に高価ですが、今回は下地材や再利用品など簡素な材料だけで構成することにしました。
本来茶室とは、そのようなものであったはずなのですから。

d0031378_05595215.jpg


無事に工事が完了し、昨日引き渡しが行われました。
工事関係者の皆様、本当にありがとうございました。
夕方からはお茶会が開かれてご友人や工事関係者が招かれました。
( オーナーさんのご指名で正客席には私が座ることに・・・(汗) )
お作法も勉強させていただき貴重な経験になりました。

たいへんお世話になりましてありがとうございました。
オープンまであと少し、頑張ってください!!



d0031378_05594990.jpg


2月オープン予定




(改修前の様子)

d0031378_05595575.jpg

d0031378_05595811.jpg

d0031378_06000152.jpg





[PR]
# by npo-iezukurinokai | 2018-01-23 06:22 | 丹羽 修 | Comments(0)

雪国の蔵

東京にも大雪警報が出た本日ですが、市ヶ谷も窓口当番をしている間にみるみるうちに外の景色が真っ白になりました。

d0021969_23140451.jpg
大雪で思い出したのが、4年前に東京に大雪の降った次の日に行った雪国秋田のことでした。旅の目的は当時ちょうど重要伝統的建造物群保存地区に指定されたばかりだった秋田県増田町を訪問することでした。増田町は伝統的な建造物が多く保存されているだけでなく、その内部に内蔵があることが特徴的でした。建物の中に入れ子のように蔵が建っているのです。
d0021969_23141058.jpg
黒漆喰の壁が雪に反射した光に当たり優しい柔らかい表情をしていました。蔵というと物をしまう場所と思っていましたが、増田町の内蔵は居室として座敷が設けられていました。増田町ではかなりの割合で内蔵に座敷が設けられ、限られた家族が使う部屋とされていたそうです。
d0021969_23141334.jpg
増田町以外にも近辺の蔵を数か所見て回ったのですが、その中には酒蔵も数か所あり、見学すると試飲も勧めて頂き日本酒を頂くということを繰り返していたら、すっかり日本酒の美味しさに目覚めてしまいました。珍しかったのは写真の日の丸酒造で頂いたヨーグルトのお酒です。ヨーグルトと甘酒が混ざっていて、飲みやすくてグイグイと飲んでしまいそうでした。

工藤夕佳/mokki設計室一級建築士事務所

[PR]
# by npo-iezukurinokai | 2018-01-22 23:34 | 工藤 夕佳 | Comments(0)

重きを負いし君が肩に…

今年の宮中で行われた歌会始の皇后さまの歌である


語るなく 重きを負いし 君が肩に 早春の日差し 静かにそそぐ


多くを語ることなくただただ行動によってのみ表現し続ける天皇をよんだ歌、何とも奥深い。

日本において天皇とはどんな存在なのだろう、とずっと思ってきたがよくわからない。
天皇、皇后の被災地への訪問の姿を見るたびに胸が熱くなる。
そのような感情がどこから、何故沸いてくるのか、本当に不思議だ。
天皇って自分たちにとって何なんだろう、といつも思う。
それは戦前の、「畏れ多くも畏き辺りにおかせられましては・・・」というのとはあきらかに違う。
むしろ、それは尊敬?なのか。
そうとも思うし、
一千何百年も、他国では見られないような存在が続いてきたこと自体に、何かがあるのかもしれない。
それは、日本人って、自分って何だろうという問とも同じなのかもしれない。
よく分らない。

で、最近読んだ本。
またまた内田樹さんの本です。
相変わらずの切れ味抜群。

d0021969_15592867.jpg

街場の天皇論

  • 東洋経済新報社
  • 価格¥ 1,620(2018/01/18 12:37時点)
  • 発売日2017/10/06
  • 商品ランキング20,976位
 カスタマーレビューを見る


泉 幸甫/泉幸甫建築研究所

[PR]
# by npo-iezukurinokai | 2018-01-18 16:10 | 泉 幸甫 | Comments(0)

日本一の大仏に願掛け Ⅱ 平安神宮


奈良大仏様に願掛けの後、京都へ。
やはり正月らしく平安神宮や下賀茂神社へ。
平安神宮は中学の修学旅行以来。
建築をやるものからしたら何となく平安神宮なんて、と思っていたが、結構なものだった。
よく知られる赤い建物は平安宮大極殿を模して建造されたもので、伊東忠太の設計。
正面からは何となく重心の足りなさを感じるが、それは僕だけだろうか。
神宮の裏庭は植治こと、小川治兵衛によるもので、流石!
小川治兵衛は一昨年NHK、BSで何回かに分けて放映されて南禅寺別荘群の造園家として一般の人にも知られるようになった。
近代造園の生みの親と言われるが、南禅寺別荘群の池の水は琵琶湖疎水を利用したもので、この平安神宮の池もそうだ。
ただ、南禅寺別荘群は個人所有のものがほとんどで見ることはできない。
見ることのできるものは山形有朋が所有していた無鄰菴と、別荘ではないが、この平安神宮の庭くらいで、誰でもOK。

この池にかかる泰平閣と名付けされた屋根の付いた橋が素晴らしい。

御所より移築したものらしいが、本当に美しい。
真ん中の屋根の上には鳳凰の飾りがあり、優美さがある。

橋の屋根の小屋組みも美しい。

小川治兵衛のことはこの本に詳しい。

面白い。


d0021969_15591651.jpg庭師 小川治兵衛とその時代

  • 東京大学出版会
  • 価格¥ 3,024(2018/01/17 16:26時点)
  • 発売日2013/05/29
  • 商品ランキング401,998位
カスタマーレビューを見る
[PR]
# by npo-iezukurinokai | 2018-01-18 16:04 | 泉 幸甫 | Comments(0)